プロ音響機器フェア in NAGOYA 2018
2018年3月12日(月)・13日(火)の両日、中京地区春の恒例行事となった「プロ音響機器フェア in NAGOYA 2018」を日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで開催し、11社の「ブース展示」と5科目の「音響セミナー」、8社8ブランドの「スピーカー試聴会」を実施した。
12日は、仕込み後の15:00に開場してロビーのブース展示と、会議室で①「How to Sound Engineer」、ホールにて②「ネットワークと音響」、③「音響測定のいろいろ」の音響セミナーを開催した。
13日は10:00に開場して午前中はホールにて音響セミナーの④「ネットワークと音響」、⑤「音響測定のいろいろ」を開催し、13:00からは、今回はテーマを設けず8社8ブランドのスピーカーを各社のプレゼンターにプレゼンテーションして頂く「スピーカー試聴会」を開催した。
各社様々なスピーカーのプレゼンテーションと試聴から、軽量・省スペースのスピーカーシステムでも結構な数のオーディエンスをカバーできる機種が多々あることを再認識すると共に、様々な現場でそれぞれに最適の音を提供できる選択肢の多さを実感した。
また、ロビー展示ではスピーカー試聴出展8社の他、3社に展示出展を頂き合計11社のブース展示に加え、橋本敏邦講師の「ネットワーク研究」「ネットワークと音響」の展示もあり、中京地区の音響家達の興味を喚起して各ブースで大いに話が弾んでいた。
なお、両日合計で約150名の来場者があった。
次回は2019年2月に開催する予定。来年はどんなデバイスが出てくるのか、今から楽しみだ。
▲試聴会に出品した全スピーカ
▲試聴中
▲展示の模様
技術セミナー「楽器を知ろう・ハープ編」
2018年3月9日、国立音楽大学・新1号館オーケストラスタジオにおいて、日本音響家協会東日本支部主催、国立音楽大学協力による“ハープに関するセミナー"が開催されました。
講師は、早川りさこ氏(国立音楽大学講師・NHK交響楽団ハープ奏者=写真左)、下田正久氏(松尾楽器商会=写真右)でした。
▲早川りさこ氏
▲下田正久氏
共演者 は、下払桐子さん(フルート)国立音楽大学大学院修士課程修了/第85回日本音楽コンクールフルート部門1位、冨永弥悠さん(ハープ)国立音楽大学卒業/第15回大阪国際音楽コンクール1位、田中渚さん (ハープ)国立音楽大学2年在学/第29回日本ハープコンクール3位です。
今回は第1部、第2部とも開始時と終了時に演奏がありましたので、ハープの生の音色に十分に触れることができました。
楽器本来の音色を知り、楽器の構造を理解して、演奏者の気持ちを推察しながら目標の音を定めて、そこに向かって録音またはSRをすべきであるというのが、このイベントの実施意図です。
今回も多くのマイク(9本)を様々な方向(位値)に設置し、様々な装着方法でアプローチしましたが、これは理想的なマイキングが目的ではなく、楽器音の放射状態を確認するためのものと思います。
したがって、実際のマイキングは、この測定結果を参考にするなどして、または演奏者と協議しながら、マイクの選定と設置位置を試みて、個々のマイキングを編み出すべきものであると思います。
第5回ライブ・エンターテイメントEXPO 音響技術セミナー
▲EXPO展示場の様子
2018年2月23日、千葉県の幕張メッセにおいて開催されたライブ・エンターテイメントEXPOの「音響技術セミナー」が開催された。このセミナーはリード エグジビション ジャパン株式会社の主催で、日本音響家協会の共催により、今年で3回目となる。
今回は、「欧米スタイルのミキシング・マスタリングテクニックを紐解く」と題してアーティストピアノサービス株式会社チーフ・プロデューサの古屋博俊さん、「演劇の音響効果の世界から学ぶ舞台音響の創造」と題して日本音響家協会会長、ザ・ゴールドエンジン代表の八板賢二郎さん、松竹ショウビズスタジオ株式会社常務取締役の内藤博司さん、「スピーカ製品開発と現場におけるシステム構築の歴史と課題」と題してボーズコーポレーション プロシステム・ゼネラルマネージャの持丸聡さんの講演が行われた。
機材は、株式会社ジェネレックジャパン、ボーズ合同会社、コモドマッティーナ株式会社から提供していただきました。
なお、22日に開催された8の字巻グランプリ2018に関しては、8の字巻グランプリのページに掲載してあります。
▲"欧米スタイルのミキシング・マスタリングテクニックを紐解く"の機材の様子
古屋 博敏
アメリカ、ヨーロッパで作られる音の違いは誰でも感じることができますが、その違いを如何に体系化し理論的に洞察することが必要な段階にきています。
しかし、グローバル化している音楽産業に、日本は付いて行けていない。
エンターテイメントの世界は極めて狭くなり、オンラインで繋がれたアーティストやプロデューサたちの間を、音源ファイルは一瞬で世界中を駆け巡り国境など皆無に等しい状況です。
そうした環境下の中、技術以上にバッハ、ベートーヴェン、ブラームスを育んだ国は、どういう音の聴き方をしているのか? どういう色彩感で音色を捉えているのか? その美的感性を自らに育むことが最も重要ではないでしょうか。
1つの指標として、大きすぎるモニタリングは、聴覚を制限しバランスの悪い、もしくは失敗作が出来上がる可能性が極めて高くなります。
バークリー音大では、83dBをリミットとする具体的な指標がありましたし、本国でメーカーとエンドース契約を行う折のオーディションでも、爆音は一切用いられていません。こうした文化的側面、本国で何が行なわれているのかをつぶさに知ることが重要かと思っています。
◆
八板賢二郎
音響効果マンは「作り物(擬音)」の音を “本物の音らしく” 聞かせるマジシャンです。
演劇のセリフは日常会話ではなく、歌舞伎のように七五調であったり、形よく創られた非日常的な言葉であったりします。そして、セリフは最もメッセージを伝達する力を持っています。それにマッチングするように効果音を製作して操作することで、セリフが活きてきます。また、虫や犬などは演技をしないので、その音を創るのは音響デザイナであって、演技するのはオペレータなのです。
◆
内藤 博司
その「演技するオペレータ」が自分の演技に対して考察をやめてしまうと、次世代の「音響演出家」であるデザイナとして育ちません。
音響オペレータは、常に音響デザイナを否定する立ち位置にあって貰いたい。
デザイナが提示した音源がベストなのか? その音源に対して指示された音出しのタイミングが最良なのか?など様々な意識を持って音出しを行うことで、オペレータ自身が音響デザイナに育つ素養が培われて行くのではないかと思います。
我々デザイナも自戒を込めて、次期音響効果デザイナの育成に腐心せねばならない時機が来ているのではないかと考えます。
◆
持丸 聡
音源による空気の振動の繰り返しが、圧力変化として伝搬(縦波)して行き、耳でその圧力変化の繰り返しが電気信号に変換されて脳で音として認知されます。スピーカは電気信号を振動に変換する装置で、基本的にはマグネットの磁界とコイルに流れた電流によって、振動板に付いたコイルが振動して音となります。スピーカの特性はマグネットやコイル、振動板などの違いにより変化するが、エンクロージャやウェーブガイドもスピーカの性能を大きく左右する要素となります。
スピーカに要求される性能は、家庭用、スタジオモニター用、PA/SR用などで全く異なるため、開発にもそれぞれ固有の特性が要求される。中でもSR用のスピーカは、広いエリアにいる多数のオーディエンスが対象となるため、複数のスピーカを如何に組み合わせて固有の条件に対応できるかが重要となるのです。
スピーカを組み合わせたものをアレイと呼び、アレイの構築方法とそれを構築するコンポーネントは歴史とともに変化して来ているが、最も大切なのは、音の伝搬原理と特性をよく理解し、目的に見合ったシステムを適切なスピーカの組み合わせにより実現することです。
またFIRフィルタを含め、イコライゼーションによる補正には限界や副産物があることを理解した上で、シミュレーションや測定を活用してシステムの最適化を行うべきです。理想的には補正を最小限にできるシステムが望ましいのです。
藝どころ名古屋で学ぶ
第15回邦楽セミナー日本舞踊「柝・附け打ち・下座音楽」
日時:2018年2月6日(火)12:30〜17:30
会場:名古屋市芸術創造センターホール
講師:逆瀬川 浩 氏(日本舞踊狂言方)
住田長千果 師(鳴物方)
犬塚 裕道 氏(邦楽セミナー常任講師)
所作実演協力:藤間 勘人 氏(舞踊家)
主催:公益財団法人 名古屋市文化振興事業団【芸術創造センター】
一般社団法人 日本音響家協会中部支部
協賛:株式会社エーアンドブイ、ジャトー株式会社、有限会社デジコム、
ヤマハサウンドシステム株式会社
2018年2月6日、名古屋市芸術創造センターホールにて「藝どころ名古屋で学ぶ第15回邦楽セミナー」を開催いたしました。
講師は日本舞踊狂言方として主に日本舞踊の舞台業務でご活躍されています、逆瀬川浩氏。そして幼少より日本舞踊、唄、三味線等修得し、鳴物家として舞台、イベント等で活動中の住田長千果師。所作実演協力は東海地方で後見としてご活躍の舞踊家、藤間勘人氏。以上の3名をお迎えし、狂言方・鳴物・舞踊それぞれのお立場からご講義をいただきました。
邦楽セミナー常任講師の犬塚氏の進行のもとセミナーは始まり、第1部の基礎講座では逆瀬川氏より柝・附けの打ち方や役割などのご説明、そして狂言方としての仕事や音響家との関わりなどのお話を伺いました。そして住田長千果師より大太鼓・小鼓・大鼓などの仕組みや打ち方、鳴物の効果などのご講義をいただきました。
▲犬塚氏の説明
第2部の基礎講座では藤間勘人氏により通り神楽の幕開き・迫り上がり・駆け出しなどを柝・附け・鳴物と合わせて実演をいただきました。(午前中、入念に合わせをされていましたが、アドリブでの実演もありました。)
▲御三方の共演
第3部の専門講座では大太鼓・当り鉦(コンチキ)・小鼓・柝・附けを、4本のコンデンサーマイクを任意の位置にセットをして録音・再生し、聴き比べてマイクアレンジをどの位置、どの角度で録音をするとより実際の音に近い音が録音出来るかなどを試聴しました。受講者の皆様からどの位置でのマイクアレンジが良かったかなどのご意見をいただき、マイクアレンジのご希望も伺って再度録音した結果(柝・附け)、逆瀬川講師からマイク位置を遠く離して録音した音源がホールの響きも加わりより実際の音に近いのではないかとの感想をいただきました。
▲専門講座(小鼓のマイキング)
遠くは、異例の寒波と降雪の高知県から前乗りでご参加いただき、とても充実した1日となりました。
なお、当日は名古屋市芸術創造センターの照明・音響・舞台スタッフに、舞台の仕込み・バラシ、迫り・照明のきっかけ操作などのご協力をいただき、ありがとうございました。
第3回デジタル卓セミナー《フラッグシップLIVEコンソール》
日時:2018年1月23日(火)
会場:神戸常磐アリーナ・多目的ホール(兵庫県立文化体育館)
主催:一般社団法人日本音響家協会 西日本支部
試聴使用機器協力:ボーズ合同会社、エプソン販売株式会社
■試聴参加ブランド
■展示ブランド
ジャズ音響研究会(会員のためのワークショップ)
日時:2017年12月12日(火)13:30〜17:00
会場:ゲートウェイスタジオ高田馬場3号店 5階Bスタジオ
講師:塩田哲嗣(ジャズアーティスト/レコーデイングエンジニア)
ボップスの原点とも言われるジャズとはなにか、から始まり、ジャズの音響について解説していただきました。ニューヨークで演奏活動、CD製作、そしてバークリー音楽大学で学んだ塩田氏は、ベーシストであり、レコーディングエンジニア&プロデューサとしての顔を持っていて、講義は「たしかに!」と頷ける内容でした。
その一部を紹介すると以下のようになります。
塩田氏は、自分がスタジオで演奏するときに、壁からの反射音などがマイクに入って音を汚さないよう、吸音付き遮蔽器具をマイクの背面、側面に設置しているという。音が見えているアーティストであり、海外のミュージシャンたちは室内音響や電気音響の知識を学んでいるということで、音が見えているのです。
最後に、音響家技能認定講座オペレータコースで使マルチトラック音マスタリング後の違いを披露して、ワークショップを終了しました。 受講者の多くは、とても良い刺激を受けたと感想を述べていました。
したがって、懇親会もほとんどの受講者が参加しました。
日本音響家協会創立40周年記念イベント
本物のプロ、目指そうよ! シンポジウム
〜音響家の本質を学び、単なるスペシャリストでなく、真のプロに〜
日本のプロ音響界を向上させるためのシンポジウムが、2017年11月7日、東京駅八重洲北口・ルノアール会議室で開催されました。
日本音響家協会は40年間「良い環境でいい音」をスローガンに、音響家の職場環境の向上を目指して活動してまいりました。
私たちは非日常の世界を音で描いて、多くの人たちに夢と希望を与える仕事をしています。それを支える裏方は「駕籠に乗る人、担ぐ人・・・」の故事の如く、多様な人材によって成り立っており、皆が同じ身分で働き、同じ方向に向かって、共にエンタテイメントの世界を担っています。
バークリー音楽大学卒のアーチストでもあり、レコーデイングエンジニア兼プロデューサとしても活躍している、お二人をゲストにお迎えしてのシンポジウムで、日本の音響業界を元気にする試みです。とても刺激のある内容でしたが、終了後の来場者の笑顔を拝察すると、ご納得いただけたイベントであったと確信します。
そして、終了後の懇親会は40年前の設立時の賑わいが戻ってきたようで、ここで新しい出会いが生まれ、広い分野の音響家たち交流ができました。
この模様は、株式会社ピーオーピー発行の雑誌「EventBiz」 に掲載され、イベント業界にもアピールいたしました。
また試みとして、音響機器はコモドマッティーナ株式会社から提供されたバッテリーで5時間稼働するワイヤレスマイク2チャンネル搭載のMIPROスピーカを1台用いてのモノラルSRをいたしました。
今後の目標は、「職場で胸を張って論争できる人に!」「単なるスペシャリストでなく、真のプロに!」です。
このようなことを意識して、日本のプロ音響界を向上させるためのシンポジウムが、11月7日、東京駅八重洲北口・ルノアール会議室で開催されました。
▲左から塩田哲嗣、古屋博敏、奥山竜太、平井秀昌
ゲストプロフイール
塩田哲嗣(Nori Shiota)
1992年頃からベーシストとして数多くのSession&録音に参加。1996年ニューオリンズで演奏活動。1997年帰国後、大坂昌彦(Dr)などのバンドで活躍。2001年ニューヨークに再渡米。12年間のアメリカを拠点とした活動を開始する。2002年東京スカパラダイスオーケストラのNARGOと”SFKUaNK!!"を結成。全国bluenoteツアーやクアトロツアー等、精力的な活動を展開する。2005年メジャーデビュー。
2005年よりプロデュースも本格的に開始し、NY在住中Vocalの"Bei Xu”をプロデュース。i Tunes Musicなどのヒットチャートで1位を獲得。
2010年ボストンのバークリー音楽大学に入学、MP&E(ミュージックプロダクション&エンジニアリング)とPerformance(パフォーマンス)のDual Majorで2014年5月に卒業。2014年6月より日本に活動拠点を戻し、ミュージシャン&プロデューサー&録音エンジニアとして活躍中。日本音響家協会会員。
古屋博敏(Furuya Hirotoshi)
アーティストピアノサービス株式会社チーフプロデューサー。
17歳にてCM音楽の歌唱でキャリアをスタートさせる。同時期にクリストファー・クロス、ダイアナ・ロスのツアーにADとして参加。
歌手としてはクラシカル・クロスオーバーのジャンルで、新日本フィルハーモニー交響楽団との共演でCDデビュー(キングインターナショナル)。また、サウンドエンジニアとして、レコーディング・ピアノ調律の技術を習得し、ユンディ・リ、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ボン・ジョヴィなどのプロジェクトに参加。ET、ハリーポッターを手掛ける、セフィ・カーメルとも共演・共作。バークリー音楽大学 Music Production Course 卒業。
現在ハーバード大学 Extension School Visual Arts Course に在学中。ドイツSPL本国エンドース、米国EAWアーティスト。日本音響家協会会員。
主催:一般社団法人日本音響家協会
特別協力:株式会社ピーオーピー・雑誌「EventBiz」編集部
協力:コモドマッティーナ株式会社
ビーム・ステアリングスピーカ・セミナー
日時:2017年10月23日(月) 11時〜20時
会場:新宿区立四谷区民ホール
参加ブランド:BOSE/F1(ボーズ合同会社)
K-Array/KR802(ライブギア株式会社)
JBL/Ivx-HP-DS-Series(ヒビノ株式会社)
Mayer Sound/CAL64(株式会社アートウイズ)
RENKUS-HEINZ/IC-Live(松田通商株式会社)
協力:ローランド株式会社、音響特機株式会社
主催:日本音響家協会東日本支部
台風の通過により開催が危ぶまれましたが、無事に開催できました。
第1部は11時から、設置と調整というテーマで、ブランドごとに「搬入・設置・調整」の全てを見せました。共通音源による試聴はセンターモノラルとして、客席4ヶ所に測定マイクを設置して、Smaart による可視化を試みました。
第2部は、 17時から奥山竜太氏による基調講演「指向制御・ステアリング技術」で、とても分かり易く、秀逸な講義でした。
▲基調講演をする奥山竜太講師
第3部は、一部の内容を凝縮した内容で、各ブランドのスピーカを聴き比べました。
全体に、単なる試聴会ではなく、とても充実したセミナーでした。また、場面転換(試聴スピーカの設置)をするスタッフ(運営委員)の機敏な動きにも感心しました。
単なる試聴会でなく、セミナーとして開催するのが本協会の十八番です。来場者数は83名、運営スタッフ10名、出展者スタッフ15名でした。
左から BOSE/F1、K-Array/KR802、JBL/Ivx-HP-DS-Series、Mayer Sound/CAL64、RENKUS-HEINZ/IC-Live
公共ホール・集会施設等スタッフのための
映像技術セミナー in 北海道
日時:2017年9月25日
会場:札幌サンプラザホール
主催:一般社団法人日本音響家協会
共催:一般社団法人日本音響家協会北海道支部
協賛:エプソン販売株式会社
協力:株式会社フォルクラング
後援:公益社団法人 全国公立文化施設協会北海道支部
9月25日、札幌サンプラザホールで「映像技術セミナー」を開催し、56名の参加者がありました。
この度のセミナーは、ホールだけでなく各種施設で使われる機会が増えたプロジェクタについて、その基礎知識やさまざまに混在する接続形式の対処方法を学ぶもので、ホール技術者だけでなく会議室施設等を担当する事務部門職員からも参加があり、実践的に役立つ内容となりました。
このセミナー実施に際しては、エプソン販売株式会社、株式会社フォルクラング、立井電線株式会社、ライブギア株式会社の各社に協力、協賛いただきました。 (報告:北海道支部 坪田栄蔵)
▲開会の挨拶 坪田栄蔵(北海道支部・副支部長)
▲プロジェクタの基礎知識・水野知之(エプソン販売株式会社)
▲プロジェクタの基礎知識・水野知之(エプソン販売株式会社)
ライブ・エンターテイメントEXPO 技術セミナー
ライブ・エンターテイメントEXPOは2017年5月31日(水)〜6月2日(金)、千葉県の幕張メッセで開催され、そこで本部が技術セミナーを実施した。
第1部 ビギナー編「イベント関係者のための初歩の音響学」
〜見えない音響の世界を易しく説く〜
見えない音を上手に操るために、音の発生、音の性質などを易しく解説する初心者向けのセミナーでした。
▲講師:糸日谷 智孝(独立行政法人 日本芸術文化振興会)
◆
第2部 ベーシック編「スピーカシステム設置の基礎知識」
〜カップリング・キャンセレーション・ビームステアリングなどの検証〜
スピーカを複数使用すると必ず互いに影響して、音質は変化します。その様子を解説。また、ラインスピーカの放射角度をコントロールするビームステアリングの仕組みを解説しました
▲講師:奥山 竜太(オフィス・アール)
◆
第3部 スペシャル編「劇場・ホールのオーディオネットワークの構築」
〜その利点と課題
劇場に張り巡らされたオーディオネットワークはとても便利ですが課題も多く、その実例を示しながら、ネットワークを上手に使いこなすことを学べた。
▲講師:浪花 克治(浪花千葉音響計画 有限会社)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
協賛:一般社団法人日本音響家協会
協力:ボーズ合同会社/コモドマッティーナ株式会社/松田通商株式会社
監修協力:持丸聡(本協会会友)
創立40周年記念祝賀会
本協会創立40周年記念祝賀会は社員総会が開催された2017年5月23日(火)、18時からステイゴールド銀座で開催されました。
最初に八板賢二郎会長の挨拶があり、日本音響家協会の運営の特徴や今後の音響界のあり方などについて話され、その内容の要約は次のとおりでした。
『本協会は『良い環境でいい音を!』を目指して1977年に結成されました。この「環境」には音響機器、音場だけでなく音響家の生活環境も含まれています。
そして「駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」の理念で組織を構成し、放送・舞台、演劇・音楽、音響機器の設計/製造/販売など、音に携わる人のすべてが平等に参加できるように、個人会員のみとなっています。つまり協賛会員等は設けなかったということです。
また、本協会は支部ファーストで運営しています。これは「言葉が違えば考えも異なる」の例えに基づき、各地の特徴を活かしたイベントを企画して実施することを推進してのことであります。
本協会は「研鑽の場」としての団体であってユニオン的な要素はありません。そして会員の会費だけで、補助金などは一切もらわずにイベントを実施していますので、ITを活用して会員のボランテイアで運用しています。つまり、パソコンを拠点として運用し、事務所は持たないわけです。
今後は技能向上だけでなく、音響家たちの繁栄を目的として活動してまいります。「良い生活環境で・・・」です。繁栄をもたらすには、狭いところに閉じこもっていないで、そこから抜け出す必要があると考えます。幕張メッセで開催するライブ・エンターテイメントEXPOを支援しているのは、私たちのマーケットを拡大したいからであります。現場の音響家たちが、そして会社が潤わなければ音響機器は売れないので、桶屋が儲かるという諺のようなスパイラルを考えなければならないと思います』
▲会長あいさつ
会長の挨拶に続いて、長年お世話になった企業に対して感謝状が贈られた。
感謝状贈呈社は次のとおりです。(敬称略 50音順)
株式会社エーアンドブイ、株式会社エヌ エス イー、株式会社オーディオテクニカ、オタリテック株式会社、音響芸術専門学校、音響特機株式会社、カナレ電気株式会社、コモドマッティーナ株式会社、桜井会計事務所、株式会社JVCケンウッド・アークス、城陽電子機器株式会社、株式会社テレ・ポーズ、株式会社日本経済広告社、ネットワーク株式会社、株式会社パシフィックアートセンター、株式会社パワーハウス、ヒビノインターサウンド株式会社、ベステックオーディオ株式会社、ボーズ合同会社、松田通商株式会社、株式会社 総合印刷むろおか、株式会社ヤマハミュージックジャパン、ヤマハサウンドシステム株式会社、ライブギア株式会社、ローランド株式会社
感謝状贈呈後は協会の新顧問となった豊島政実さんの乾杯の音頭で、生バンドの演奏になり、40年の歩みを綴ったパワーポイント108枚が投影されました。バンドはUnder The Sun (塩崎浩二プロデュースSpecial Live)でした。
▲豊島政実顧問
▲Under The Sunの演奏
ここで、私たちの目指すSRをやってみました。本協会がストリートジャズのジャズイン府中を支援して、お金の掛からない音響をやりましたが、その成果の活用です。
ボーズ社の棒状スピーカL1を2個拝借して、1個をキーボードの後ろに仕込みキーボード専用のSRとし、もう一つをバンド後方中央にボーカル専用として設置しました。ベースとギターは自前のアンプから、ドラムは生として、全員モニターは使用せず、バンドリーダーがバランスと音量を設定して、本番となりました。リハーサルでは少し大き過ぎるかなと思っていたのですが、客が入るとちょうど良い音量になりました。流石です。ミクシング操作は不要で、この心地よい「音楽」に酔いしれた来場者からは、まことに自然な音で素晴らしいと、絶賛の評価をいだきました。
祝辞は、音響家技能認定講座の教科書の校正などを手伝っていただいている高崎市文化会館の平野克明さんからいただきました。また北海道支部の坪田栄蔵さん、東日本支部の泉谷毅さん、北陸支部の西畠理さん、中部支部の吉田廣嗣さん、西日本支部の前川幸豊さんから思い出話をしていただきました。
▲平野克明氏
最後の演奏が19時52分に終了して、丹羽功副会長の音頭による三本締めにより、制限時間いっぱいのお開きとなりました。