◎参加者の感想
当協会からの参加は8名でしたが、見学は一般参加者と一緒で手際よく案内してもらいホール施設のプレゼンテーションを受けました。
立川ステージガーデンは立飛ホールディングスが運営する4月オープンの新築ホールですが、コロナウイルスの影響で“こけら落とし”公演は延期になったようです。
ホール最大の特徴としては多摩地区最大約3000人収容人数と客席後方の壁が可動して屋外と一体化できることです。
音響に関して細かい仕様は施設のホームページに掲載されていますが、常設ラインアレイの吊機構が左右に移動するだけでなく、持ち込みスピーカー用の吊機構も同様に稼働し、常設スピーカーの位置に設置することが出来るのは便利な機構でしょう。
個人的には自宅からも比較的近いので、興味のある催物があれば是非、見に行きたいです。
(網野岳俊)
クリエイティブセミナー
ジャズとオペラの音表現
日時:2020 年2 月10 日(月) 13時30分~16時50分
会場:大阪市立青少年センター・ココプラザ
主催: 一社)日本音響家協会
共催: 一社)日本音響家協会西日本支部
1,ジャズの音響創造
講師:浅原勇治(音響家技能認定講座・ジャズ音響専任講師)
2,オペラの音響創造
講師:小野隆浩(びわ湖ホール音響デザイナー/大阪芸術大学准教授)
第7回ライブ・エンターテイメントEXPO
技術セミナー
日時:2020年2月6日(木)11時、13時分30分、16時
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
共催:一般社団法人日本音響家協会
■11:00 〜12:30
音響家のための安全対策(べーシック編)
髙崎 利成
ハーティワークス代表、日本音響家協会代表理事・副会長
安全対策とは、危害または損傷・損害を受けるおそれがないようにすることで、身の危険だけでなく契約などまで及びます。
舞台における安全の対象は自身だけでなく、出演者や観客、そして他のスタッフの安全も含まれます。音の分野では大音量による被害も考慮すべきです。そこで、音響家目線で舞台における安全を論じました。
◆プロフィール:1978 年から音響の仕事に就き、官民のイベントをはじめ、演劇・オペラ・バレエなどの音響を担当。新設ホールの“ こけら落とし” やホール音響管理等の業務も行い、現在も音響プランナーやオペレータとして活動。TBC学院の講師、音響家技能認定講座の講師。
■13:30 〜15:00
ジャズの音響(クリエイティブ編)
浅原 勇治
サウンドワーク・アシュリー代表、日本音響家協会西日本支部運営委員
ミュージシャンとのコミュニケーションの大切さと、演奏者固有の音をそのまま観客に伝える役としての音響家の在り方など、ジャズ音響の創造について解説しました。
◆プロフィール:1999 年からジャズを主に活動し、著名なミュージシャンやビッグバンドの音響担当多数。ジャズ録音の第一人者である及川公生氏などの教示の下、ジャズの本質をわきまえ、ひたすら生音(出音)を大切にし、自然で心地よい音に仕上げるテクニックを学び、2014 年に日本音響家協会賞を受賞している。現在、関西ジャズ協会会員、音響家技能認定講座のジャズ音響専任講師。
■16:00 〜17:30
オペラの音響(クリエイティブ編)
小野 隆浩
びわ湖ホール音響デザイナー、大阪芸術大学舞台芸術学科准教授
歌舞伎と同じ時代に生まれたオペラ。そのオペラは伝統を守りながらも、最新の表現芸術でもあり続けています。なぜオペラは今でも進化し続けるのか?この疑問に従来の音楽的な視点からだけではなく、舞台での表現芸術としての視点を交えて実例を紹介し、舞台音響がどのようにかかわっているかを解き明かしました。
◆プロフィール:1980 年からコンサート音響界に入り、その後オペラ・クラッシック音楽の音響デザイナーとして活動。建築音響の理論をベースに電気音響を効果的に組み合わせる独特の手法による音場表現は、劇場空間に自然な響きを創り出し、その芸術的表現力には定評がある。1992 年第3 回出光音楽賞、2001 年第2 回日本音響家協会賞、2009 年度公立文化施設協議会特別賞を受賞。著書「オペラと音響デザイナー」、共著「びわ湖ホール オペラをつくる」他。
第7回ライブ・エンターテイメントEXPO
ライブ、イベントのためのコミュニケーション機器実演
〜コミュニケーション機器を体感しよう〜
日 時:2020年2月5日(水)& 6日(木)
会 場:幕張メッセ展示場
エンターテイメントEXPO 特設ステージ
主 催:一般社団法人日本音響家協会
共 催:一般社団法人日本舞台監督協会
公益社団法人劇場演出空間技術協会
特別協力:リード エグジビション ジャパン株式会社
協 力:株式会社映像センター、株式会社オタリテック、
ゼンハイザージャパン株式会社、松田通商株式会社
機材提供:株式会社エクシリ、株式会社オンザウェイ、株式会社テレコム、
ジャパンエニックス株式会社
実 演:11時、13時、15時に実施(毎回30分)
イベント等の開催において、スタッフ同士・スタッフとアーティスト・アーティスト同士のコミュニケーション機器の実演をします。
コミュニケーション機器の多くはデジタル化が進み、多機能になってとても便利になりました。
しかし、デジタル機器の欠点として、信号伝送に遅れが発生します。
これは信号をデジタルに変換する時点で生ずるレイテンシー(latency)というもので、遅延時間・待ち時間・反応時間として捉えます。
レイテンシーの時間は、高性能の機器であれば低下しますが、無くならないです。
また、無線方式のものは混信などのトラブルもあります。
用途に応じてレイテンシーや伝送距離、使用する場所などを考慮して機器を選びます。そのためには、機器の特徴を理解することが大切です。このイベントはそのためのワークショップでした。
実演機器
ワイヤレスインカム
これまで劇場やホールなどの運営に欠かせなかったインカムは、カーレースF1、サッカー、ラグビーなどでも不可欠なコミュニケーション機器となっています。
デジタル化されたインカムには多機能が備わっていて、様々なシーンに対応できます。
デジタル方式によるレイテンシーが許される時間は?、混信を避けるための処方は?、について検証します。
インイヤモニタ
ポップスコンサートなどでは、ボーカリストなどの耳に装着してフォールドバック(モニタリング)音を聴くインイヤモニタが普及しています。ワイヤレスマイクの周波数帯を利用したシステムで、大規模会場のいくつかのステージで同時利用するときは、利用チャンネルが重ならないように運用調整が必要です。そのためには免許制の帯域を使用しなければならないのです。
コンサート等では、混信や電波ノイズを避け、効率よく電波を送信するための対応が必要となります。
また、レイテンシーを避けるためにアナログ機器使用が定番となっています。
映像モニター装置
劇場で演じられるオペラ等では、オーケストラの演奏に合わせて舞台袖で演奏することもあります。この場合、指揮者の映像を映した映像モニタを見ながら演奏することがあります。
デジタルのカメラやモニタを使用すると、映像が遅れてしまいます。
その対策、機器の選定はどのようにすべきなのかを検証します。
最近は、国際会議の同時通訳が隔離された部屋で行うため、通訳者のために映像モニタを用いることがあります。その現状などを解説しました。
IPトランシーバ
IP通信システムを用いたトランシーバです。携帯電話回線を利用したもので、従来のトランシーバのように運用できます。
プレストーク方式と双方向通話方式があり、個別呼出・グループ呼出・一斉呼出が可能です。
携帯電話と同じくレイテンシーが大きいので、エンターテイメントの合図(キュー)をしたりするには向かないですが、広い会場で行われるイベント、遠方地で開催しているイベント、またはマラソンなどのスタッフ間の連絡用としては便利な機器で、リース利用が普及しています。
この展示会に出店していた4社に機材提供をお願いし、通話の実演も実施しました。
ドルビーアトモス(映画CATSの字幕版鑑賞付き)見学会
日時:2020年1月29日(水)12時40分から15時30分
会場:ミッドランドスクエアシネマ2
主催:一般社団法人 日本音響家協会中部支部
最近、映画館の音が進化したという宣伝で数多くの作品が公開されてきました。
従来のサラウンドと一味違って、平面的ではなく立体的な音場を体験できます。
しかし、いざ上映されている劇場を探してみると意外と少ないものです。
フィルム投射、サウンドトラック再生の映画とは異なる、新しい映画の音環境の世界を体験するため、ミッドランドスクエアシネマ様のご協力のもと見学会を実施することとしました。
見学会はミッドランドスクエアシネマ マネージャーの望月真也氏の進行により、映写室の見学、ドルビー・アトモスの導入されているスクリーン10の場内見学を行いました。映写室では最新のプロジェクターやシステム等をご解説いただき、場内では、ドルビー社提供のデモ映像を交えつつ、ドルビー・アトモスの基本的な構造を学びました。最後に、「CATS」を鑑賞しながら平面的ではない立体的な音場を体験しました。
ライブ配信・音声の現状
最近、注目されている「ライブ配信」に関して、音声の取り扱いの現状を、幾つかの現場の実態から解説していただき、とてもわかりやすい講義でした。また、質問も多く出て、それに丁寧な回答をしていただき、とても有意義なセミナーとなりました。
・ライブ配信とは
・ライブ配信における「音声」の重要性
・ライブ配信の種類と規模、使用される環境と機材
・従来のメディアとの相違
・実際の現場(幾つか実際に行われたライブ配信)を紹介
・ライブ配信の今後
講 師:須藤 高宏(マイクロサウンド代表/日本音響家協会事業委員)
日 時:2020年1月20日(月) 14時30分〜17時
会 場:芸能花伝舎
主 催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
◆講師プロフィール
1961年 埼玉県生まれ
1990年から東京都国分寺市にて録音スタジオ「マイクロサウンド」を運営、各種録音編集制作、音響業務に携わる。
交通施設(鉄道、高速道路)、公共施設(治水、ホール)用放送音源録音、販売用CD音源制作、各種劇伴の制作等。
コンピュータミュージック・音響・収音に関する書籍や記事の執筆も行っている。
配信収録音声にも関わり、ソフトバンク「光の道」対談、向谷倶楽部、NO NUKES
2012、NO NUKES 2013、FREE DOMMUNE ZERO、skmts
Projectなど各種イベント配信収録音声を担当。
オペラ・サウンドデザイン・セミナー
歌劇『こうもり』を題材に(講義とゲネプロ観賞)
講 師:小野 隆浩
日 時:2020年1月 9日(木)13時~17時
会 場:滋賀県立芸術劇場・びわ湖ホール
主 催:日本音響家協会 西日本支部
協 力:滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
音響茶話会「改めて知るサラウンド」
日時:2019 年 12 月 18 日(水)
講師:下山 幸一 氏
場所:エムアイセブンジャパン ショールーム
主催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
協力:株式会社エムアイセブンジャパン
◆下山幸一(しもやま こういち)プロフィール
日本放送協会・放送技術局制作技術センター・番組制作技術部チーフエンジニア、NHK放送研修センター・シニアディレクターを経て、現在、録音家、オーディオ研究家。
1970年代後半からオーディオ誌等で、執筆活動。
2007年、サラウンド・マイクロホンアレーの研究発表で、AES JAPAN AWARD受賞。この成果は、22.2ch音響の収音手法にも引き継がれる。
2014年、日本プロ音楽録音賞部門Eサラウンド・サウンドで優秀賞を受賞。
実施報告
この会は「サラウンドを聴いたらステレオなんて」「サラウンドはハイクオリティ!」「これが本当のサラウンドマイキング」「サラウンドでなければ表現できない音楽もある」「イマーシブオーディオとは?」の5つの柱立てで進行しました。
解説だけではなく、ステレオとサラウンド、異なるサラウンドマイキングの比較を同一音源を用いて試聴したことで、それぞれの違いや特徴を体感できました。
会場の再生環境は素晴らしく、参加者にサラウンドの魅力を十分伝えることができようです。
なお講義の前に、会場の再生環境についてエムアイセブンジャパンの三橋氏にご説明いただきました。 (坂下 雄一)
感想
2003年7月に新宿区文化センター小ホールで実施された東日本支部技術セミナーで、宮下雄二会員に聞かせていただいてサラウンドの素晴らしさを味わいましたが、それから16年経っての開催でした。
今回は、音環境が調った会場での開催で、各自、音や音楽の好みは異なりますが、イマーシブの9.1も再生していただき「納得」できる心地よい音楽を聴くことができました。
サラウンドの収録方法(マイキング)は、レコーディングエンジニアによって様々で、独自の考えがあります。
下山さんはサラウンドが普及しない理由をいくつか述べておられましたが、いろいろな課題があって、愛好家は多いようですが一般への普及が進まないのが現状のようで、まことに残念に思いました。スポーツのテレビ放送では5.1が定番のようですが、今後はライブビューイングなどへの活用が望まれるではないでしょう。 (関 賢榮)
▲front
▲rear
サウンドエンジニアとミュージシャンのための公開講座
サウンドクリエイタ養成セミナー
ジャズ音響研究会・北陸版
〜アーティストから学ぶジャズの音創り〜
日時:2019年12月5日(木) 13:30~16:15
会場:金沢市民芸術村 パフォーミングスクエア
第1部:ビッグバンドの音の組み立て
第2部:ジャズ演奏のSRテクニック 演奏:福井直秀カルテット
このイベントは、サウンドエンジニアとミュージシャンのための公開講座と銘打ったサウンドクリエイタ養成セミナーです。
従って、マイクやスピーカは何を使っているかということには触れないことにしました。
最初に、いい音ってなにかから始まりました。
メーカーさんはスペック(性能)でしょう。設備音響はチューニングして癖の無いキャンバスを作ること。そしてステージの音響家は観客を感動する音を演出空間に描くのです。観客は、どのような機器を使用しているかに興味はなく、素敵な演奏、演技を楽しみに来ているのだというメッセージから、このイベントは開始しました。
第1部は「ビッグバンドの音の組み立て」として、高砂高校ビッグフレンドリージャズオーケストラのチャリティーコンサートを収録した音源を用いて、生演奏では不可能なことを検証しました。
最初は、モニタースピーカ(FB=フォールドバック)から観客席に漏れる音を確認しました。収録したときと同じところにモニタースピーカを設置して、収録時を再現して、受講者に聞いていだきました。SRなしでも充分な音量が客席側に漏れていました。
続いて「被り音」についてです。それぞれのマイクに入っている音を一つずつ試聴して、目的外の音が収音されてしまっている様子を理解していだきました。例えば、ピアノのマイクにバスドラムの音が被っていると、ピアノの音を上げるとバスドラムの音も一緒に上がってしまうということになります。ステージでは被りを皆無にはできないのですが、楽器の配置やマイキングの技で軽減できます。
全体のマイクの収音状態を理解した上で、ビッグバンドの音の組み立てを開始しました。まずリズムセクションのバランスを一体感のある心地よい音にすることから始め、そこにホーンセクションを被せるというプロセスです。
第2部は「ジャズ演奏のSRテクニック」で、福井直秀カルテットの皆さんによるご協力で、いろいろと試してみました。
最初は、見た目優先の横並びによる演奏で、モニターがないと演奏できないスタイルで演奏してもらい、次にアイコンタクトで演奏できる配置にして演奏していただきました。
この状態で、定番の「ステージ前L・Rに配置したスピーカ(L-ACOUSTICS X15 HiQ)」と、「バンド後方の中央に置いたスピーカ(WRAPSOUN NS-8 )」によるSRを比較試聴しました。観客席の広さなどを考慮して、どちらを採用するかは各自で判断すべきことです。小さな会場であればバンド後方にすればモニター無しでも可能になります。これは協会の40周年記念祝賀会で試みていますし、ストリートジャズでもこのような形が定番になっています。
このような現場では不可能な実験を行い、最後にステージの前と後方のスピーカを用いてそれぞれ1曲ずつ演奏していただき、このセミナーを終了しました。
■ジャズ音響研究会・北陸版を終了して(関係者の意見)
インストラクタの塩田哲嗣さんからメッセージ
普段現場では試せない若しくは試しづらい、ミュージシャンとステージモニターとFOHの関係性を、具体的に演奏者の意見も交えながら、様々な組み合わせで聴くことができたのは、素晴らしい経験でした。
同時に、そのステージに関わる人達それぞれが、いかに全く違う立ち位置と価値観で音響バランスを求めているか、そのバラバラな要求に対してどう答えていくか?という、PA( 音響) の一番の醍醐味を味わえました。
また是非、何処かでやってみたいです。ありがとうございました。
インストラクタの新谷美樹夫さんからのメッセージ
今回のセミナーは機材の話ではなくて、お客さんにジャズを届けるという観点でいくからと八板会長が言われてスタート。
ジャズミュージシャンでレコーディングや音楽プロデュースされている塩田さん、そして関西でジャズ音響家といえばこの方という浅原さんが参加して頂いたというのはナイスキャスティングだったと思います。このような場に私も参加させて頂いたことにとても感謝です。
今回、改めて再認識したことや新たな気づきがありましたが、ミュージシャンと音響家、立ち位置は違うがお客さんに良いジャズを届けるということでは同じであるし、ジャズミュージシャンも交えて様々な実験や検証が出来たのはとても有意義でした。
ステージ上の音をアーティストやミュージシャンと共に創っていく上で、楽器の配置、アンプのヴォリューム、モニタースピーカーの位置や返す音と音量など多くの要素がある中で、演奏のし易さも含めて、コミュニケーションを上手く取りながら信頼関係を作ることが大事と再認識しました。
この機会に私自身のバイアス調整をしながら現場に望みたいと思います。
八板会長と塩田さんの進行は、とてもジャズ?でした。
運営担当の鷹栖了さんからのメッセージ
1部では、録音音源を使用してビックバンドの演奏者がFBとして欲しい音を普段では聴くことのないFBスピーカー毎に聴きました。このことにより、収録マイクの被りの状況や観客席への聞こえ具合が良く解りました。
2部では、バンドに協力をいただいて、アーティストの目線でバンドの配置やFBスピーカー(モニター)の有無による演奏の違いなどを、その都度、バンドメンバーの感想を聞いて、そして新たな状況に於いて演奏をしていただく形でセミナーが行われました。その中には、ミュージシャンが演奏しやすい状況を作り出しての演奏と、観客にとっての良い音の演奏の状態も作り出していただて、聞き比べることもできました。また、バンド前方両サイドにスピーカーを配置した一般的なSRとバンド後方にワンポイントソーススピーカーによるSRの比較もあり、演奏や音の違いが大変理解しやすく興味深いセミナーでありました。
このように有意義なセミナーが北陸金沢で開催されたことに感謝しています。
▲第1部の解説をする塩田哲嗣氏(左)と八板賢二郎氏
▲オペレーションしながら解説する新谷美樹夫氏(左)と浅原勇治氏
▲第2部で演奏する福井秀直カルテットのみなさん
福井 直秀 (Fl) 、木村 郁絵 (Pf) 、中山 トモ (C.Bass) 、中沢 宏明 (Ds)
Dante Network セミナー 中級編
日時:2019年10月30日(水) 11:00~17:00
会場:芸能花伝舎A1スペース
講師:石橋健児・増田雅也(ヤマハミュージックジャパン)
川北敏樹(Audinate Japan)
トークショー進行:奥山竜太(日本音響家協会理事)
トークショーパネラー:川北敏樹
石橋健児
菊池智彦(ヤマハサウンドシステム)
三富大資(ティアック)
主催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
協力:Audinate Japan、株式会社ヤマハミュージックジャパン
ヤマハサウンドシステム株式会社、ティアック株式会社
株式会社オーディオテクニカ、松田通商株式会社
6月28日に実施した初級編の続き中級編を実施した。
セミナーは、ヤマハミュージックジャパン社から提供の教書「Dante System Design Guid」を受講者に配布し、それを参考にわかりやすい解説と、実機を用いて音を出しながら説明していただいた。
また、トークショーでは各パネラーから普通ではなかなか聞くことができない裏情報や実際に設置した現場でのトラブル等、貴重な体験話をきくことができた。
セミナー終了後はAudinate Japan社から提供された「AVIO Dante-USB変換アダプタ」をジャンケン大会で1名にプレゼントされた。(実行委員長:網野岳俊)
新国立劇場施設見学会
日時:2019年9月14日(土)11時〜13時15分
主催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
歌舞伎は無形文化遺産に指定されている日本の代表的な伝統演劇であり、オペラはイタリアで誕生してヨーロッパを中心に栄えた伝統的な演劇で、共に同時期(17世紀)に創始されています。
この日本とヨーロッパを代表する“歌舞伎とオペラ”について、劇場の見学を通じて学ぶのがテーマです。
歌舞伎については国立劇場、オペラについては新国立劇場という日本を代表する劇場を見学します。
今回は、「新国立劇場」のオペラバレスを見学しました。
見学は、最初に濱照男技術部長の案内で、ロビー(ホワイエ)から観客席、舞台、組立場(舞台装置の)、奈落(舞台下)の順に見学しました。
途中、立田雄士照明課長の計らいでの高所作業用安全帯とヘルメット着用した照明スタッフが登場して、これらの装備について丁寧に説明していただきました。
最後に上田好生音響課長の案内で舞台機構操作卓、舞台監督卓、そして音響調整室を見学しました。
楽屋は観客席後方の下に設けられていて、舞台への登場がしやすくなっていました。
また、1階客席はスロープ状になっていて、舞台の床も見える構造になっていて、オペラやバレエの観劇に適した状態になっていました。ヨーロッパの劇場は、舞台床を傾斜させたものもある。新国立劇場は舞台を平らにして客席を傾斜させいるので、俳優や舞台装置にとってはやりやすいと思う。
ヨーロッパの伝統的なオペラ劇場の観客席は馬蹄形と扇形が定番ですが、新国立劇場は2つの要素を取り入れて設計されたということです。
◆2つの劇場を見学してみて、歌舞伎とオペラの大きな違いは、
歌舞伎は1ヶ月単位で上演して、公演が終了すると舞台装置はばらして公演ごとに一から製作する。
オペラはレパートリー上演のために保管して、それを組み立てて使用するのが定番である。
また、歌舞伎は伝統的演出を重んじることを前提としているが、オペラは自由に演出をしている。そのため「現代舞台芸術」に属しているのだろう。
舞台の構造は、歌舞伎は回り舞台とセリ(迫り)を頻繁に使用している。また、横長のプロセニアムで平面的な演出になっていて、平土間席(1F)からの見物を主としている。その分、客席の中に(花道)で奥行きを創っている。大道具の定式(じょうしき=標準)立端(たっぱ=高さ)は12尺(4m)で、
オペラは縦長のプロセニアムになっていて客席5階程の客席からも見物できる。従って、大道具の立端も10m程度になっている。
▲濱技術部長の解説(ホワイエにて)
▲舞台端で機構の説明
▲舞台上から観客席を見渡す
▲下手袖の舞台監督卓
▲音響調整卓
▲見学会を終えて(中央黒の作業服が上田音響課長)
LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)施設見学会
1964年に開業した渋谷公会堂は、老朽化による建て替えを経て10月からLINE CUBE SHIBUYAとして新たな歩みを始める。同施設は、2009年に日本音響家協会の優良ホール100選に選出されていている馴染みが深いホールであり、最新の舞台・音響技術を駆使し、芸術文化の発信拠点としてどのように生まれ変わったのかを知る上で、大変貴重な体験となった。また、見学会参加者で会員の稲生眞氏は設備設計に携わった当事者として、詳細な説明や苦労話などを披露して下さり、音響家協会ならではの大変有意義な施設見学会となった。見学会終了後は、交流会を実施した。
日時:2019年8月1日(木)
対象:会員(正会員・準会員・会友・顧問)限定
主催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
▲天井スピーカ
▲音響調整卓
▲調光卓
東日本支部・劇場見学会のご案内(会員限定)
~劇場機構から学ぶ歌舞伎の世界~
歌舞伎は無形文化遺産に指定されている日本の代表的な伝統演劇であり、オペラはイタリアで誕生してヨーロッパを中心に栄えた伝統的な演劇で、共に同時期(17世紀)に創始されています。
この日本とヨーロッパを代表する“歌舞伎とオペラ”について、劇場の見学を通じて学ぶのが今回のテーマです。
舞台機構等は国立劇場舞台技術部の柳下寿樹さん、大道具製作場は田中浩さん、音響は石井真さんが、細部まで解説していただきました。
見学会終了後は交流会を開催しました。
日時:2019年7月22日(月)17時〜18時30分
舞台機構、大道具製作場、客席、音響調整室等を見学
主催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
■国立劇場の舞台機構の概要
1966年に開場。大劇場は歌舞伎の上演を主とした舞台で、舞台装置の転換を早めるために回り舞台や迫り(セリ)を活用している。
西洋の舞台を参考にしていて、上手と下手の舞台袖を舞台の間口と同等にして大きな舞台装置を車の付いた台の上に組んで舞台袖に格納しておき、押し出して装置の転換をするようにしている。
音響はセリフを部分的に、ハース効果を応用したステルスSR(生のように聞かせる)している。
■国立劇場見学会に参加して 岩野浩昭
今回、東日本支部主催の国立劇場見学会に参加させていただきました。普段のイベントで会場の下見では、受付場所や入場者の導線や音響卓の配置場所、あるいは搬入経路など会場設営に関することを中心に点検・確認までですが、今回の見学会は、そのホールの構成や特徴などを、その部署の担当者職員さんから直接、お聞きすることができ、貴重な体験でした。
国立劇場と言えば、歌舞伎などの伝統芸能の上演が多くされていますが、会場全体に演者さんの声が届くための仕掛けも見ることができました。思わず「へぇー!なるほど!」と、うなるばかりでした。直径20mの回転舞台と上下するセリ。使い方は次の場面を回転舞台の後方(半円部分)にセットしおいて回転させて転換したり、または地下に下げたセリに舞台装置をセットして上げてきたり、その逆など、演目によって様々あるようです。
舞台セットの背景画などは、舞台下(地下)で作成されているところも紹介されました。演者さんより目立たず控えめに、しかし風景として溶け込ます技法も簡単そうで難しいのだろうと拝見しました。
音響担当として気になる音響室は、難しそうな機材が所狭しと陣取っていました。ミキサーは3台有り、不具合が発生しても他の2台でバックアップができるようにセットされていることなど、最新の技術が導入されていました。
音響担当者は演者さんとパフォーマンスを作り出すといわれていますが、その状況が大変良く知ることもできました。つまり担当者は、演者さんのセリフを覚えていて、例えば次の展開の太鼓の音や笛、効果音のタイミングを台本上ではなく、身体で覚えているということもお話しされていました。たぶん、演者さんとの呼吸もどこかで合わせているのだろうと感じました。
あっという間の見学会も終了し、お約束か分かりませんが、参加者での懇親会にも参加させていただきました。懇親会では各々見学会の感想や驚いたお話し、失敗談や笑い話、うんちく、知恵袋などお話をお聞きすることが出来ました。この懇親会は、活字にはできないお話もあって、下戸の私も楽しいひと時を過ごすことができました。
企画されました東日本支部の事務局の皆さん、快くご対応していただきました国立劇場の担当職員の皆さんにお礼を申し上げます。
▲舞台袖の天井に格納されている大道具
▲下手にある下座(げざ=黒御簾・くろみす) 効果音楽(黒御簾音楽=下座音楽)を演奏する場所
▲大せりに乗って奈落(地下)まで降りた位置
▲奈落の大道具製作場にあった完成した背景
▲大道具の基本となる部材を格納
▲絵の具郡
▲音響調整卓(効果/モニター)
▲奥がSR卓
▲花道で参加者の記念写真
Dante Network セミナー/初級編
日時:2019 年 6 月 28 日(金)
場所:芸能花伝舎 A1 スペース
講師:川北敏樹氏
主催:一般社団法人日本音響家協会東日本支部
協力:Audinate Japan
日常的に使用している「Dante」ミキサーやパワーアンプに付いていて、CAT-5ケーブルを接続すると簡単に音が出てしまうが、仕組みや理論を知ればもっと使いやすく何かあったときの対応にも役立ちます。
ということで「Dante」に関して勉強しましょう!」と、講師に川北敏樹氏(Audinate Japan)を迎え、今回は初級編ということで、実機を使用して「Dante」の仕組みや理論を分かりやすく解説していただいた。
当日の参加者は40名と、会場がほぼ満員と盛況で、「Dante」に対する関心の高さが伺えるセミナーだった。(中野雅也)
第16回定時社員総会
第16回の定時社員総会は2019年5月21日、14時30分から東京駅八重洲北口のルノアール会議室で開催され、16時からは2019年日本音響家協会賞の贈賞式と受賞記念講演が行われた。
今回の受賞者はピアノ調律師の大津直規氏。ピアノの調律もサウンドシステムチューナもサイエンス部門として色付けせずにチューニングして、音の彩りはアーティストに任せるものともいう大津氏の考えには共感できる。大津氏はご自分の仕事を「鍵盤楽器技術」としている。
▲大津直規氏
17時からは場所を居酒屋に移して交流会を開催し、3時間にもおよぶ充実した交流が行われました。
小ライブコンサートのSRテクニックと小型スピーカの聴きくらべ
日 時:2019年5月15日(水)
講 師:奥山竜太
演 奏:Life in a Mafia Family
出展ブランド:BOSE、JBL,、YAMAHA、WRAPSOUN
会 場:金沢市民芸術村パフォーミングスクエア
主 催:日本音響家協会北陸支部
後 援:富山県公立文化施設協議会、石川県公立文化施設協議会、福井県公立文化施設協議会
■奥山竜太プロフィール
シュープリームス、プラターズ、レターメン、今田勝トリオ、前田憲男、沢田千可子、加藤登紀子などのコンサートに参加。一般社団法人日本音響家協会理事、東日本支部副支部長、音響家技能認定講座講師。
■演奏者プロフィール
Guitar /瀬戸智久 Percussion/原 隆二 Vocal/Blues. B. Dan.
富山県高岡発! 3人3色が、いい感じに一つになったグループ
■カリキュラム
講座1 小ライブのSRテクニック 講師 奥山竜太氏
講座2 小ライブコンサートと各社スピーカの聞きくらべ
各社スピーカのプレゼンテーション
小ライブコンサートは、バンドの後方に小型スピーカのみを配置して演奏をしていただき、各社のスピーカを切り替えて聞き比べをしました。
演奏者からは、メンバーの演奏音も聞き取り易く、観客が聞いているのと同じ音を聞きながらの演奏が出来るので、観客にどのような演奏が届いているのかという不安がないので楽しく演奏することができたとの好評をいただきました。
小ライブコンサートであれば、このような小型スピーカによるセッティングでも十分なSRを行えることが理解できました。また、各スピーカの特色も聞き取ることもでき、大変有意義なセミナーになりました。
東日本支部・技術セミナー
プラグインとハードギアの違いについて
~往年のヒット曲をハードギアとプラグインを使い分け現代に甦らせる~
日 時:2019年4月22日 15:00~16:30
講 師:古屋 博敏
助 手:加瀬 裕一
会 場:芸能花伝舎(東京・西新宿)
主 催:日本音響家協会東日本支部
協 力:株式会社ジェネレックジャパン
80・90年代のヒット曲を素材として用い、まだマスタリングの概念のなかった往年の楽曲をハードギアとプラグインを用い、現代の音に蘇らせてくれました。
ハードギアは、api500フォーマットをメインに30万円を限度として誰もが身近に感じられる機材を使い、それがプラグインとはどう違うのかを解説いたしました。
昨今、PAのマスターバスにもハードを用いたり、DTMでもプラグインからハードギアに回帰する動きが世界的に見られので、それぞれの利点を解説しながら、それがどう異なるのかを実証しました。
講師の最後の言葉「プラグインは二次元、バードギアは3次元を創っている」つまり、平面的と奥行きのある立体的な違いということでしょうか。印象的でした。
多くの受講者から、といも素晴らしいセミナーだったとの賛辞をいただきました。
このように微妙な違いにこだわるエンジニアになりたいものです。
スピーカはジェネレックジャパン社の最新のものを使用しました。
■古屋博敏プロフィール
株式会社Hiro’s Music Production 代表取締役社長兼CEO。
バークリー音楽大学修了。ハーバード大学ビジネス・スクール在学中。
2011年にクラシカル・クロスオーバーの歌手としてデビュー。
その後プロデューサーに転身し、オーディオエンジニア、プロデューサーとしてユンディ・リ、クリスティアン・ツィマーマン、ウラディーミル・アシュケナージ、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ビリー・ジョエル、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、中川翔子、Aiko、東方神起などのプロジェクトに参加。