音楽著作権
ひとの権利を認めることは、自分の権利を守ることに繋がります。
著作権法を知りながら、それを侵すことは罪です。著作権について知識がなければプロの音響技術者として失格です。
■著作権法とは・・
著作権法は、第1条において「この法律は、著作物ならびに実演、レコード、放送および有線放送に関し著作者の権利、および、これに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする」と規定している。
著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう」と規定している。
著作者とは、著作物の創作者をいう。
著作者は、著作物について著作者人格権と著作権の二つの権利を共有する。
著作者人格権には以下の3つの権利があります。
1)公表権・・・・・自分の著作物を公表するにあたって、いつ、どこで、どのような方法、形で公表するかを決めることができる権利。
2)氏名表示権・・・自分の著作物を公表する前に、著作者名を表示するかどうか、表示する場合は 実名か変名かを決めることができる権利。
3)同一性保持権・・自分の著作物の内容、または題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利。
著作権には以下の権利(支分権)があります。
1)複製権・・・・・・印刷、写真、複写、録音、録画などの方法によって著作物の複製物をつくる権利。
2)上演権と演奏権・・著作物を公に上演したり、演奏したりする権利。
3)上映権・・・・・・映画などの著作物を公に上映する権利。
4)公衆送信権・・・・著作物を公衆に送信(放送、有線放送、自動公衆送信)したり、また公衆に送信される著作物を受信装置を使って公に伝達する権利。
5)口述権・・・・・・著作物を朗読などの方法で口頭で公に伝える権利。
6)展示権・・・・・・美術の著作物と未発行の写真著作物の原作品を公に展示する権利。
7)頒布権・・・・・・映画の著作物をその複製物により頒布する権利。
8)譲渡権・・・・・・映画の著作物以外の著作物を、その原作品または複製物の譲渡により公衆に提供する権利。
9)貸与権・・・・・・映画の著作物以外の著作物を公衆へ貸与する権利。
10)翻訳権、翻案権・・著作物を翻訳、編曲、変形、翻案する権利。(二次的著作物を創作することに及ぶ権利)
11)二次使用権・・・・二次的著作物については、二次的著作物の著作者だけでなく原著作者も上記の諸権 利を持つ。
■著作隣接権《著作隣接権の趣旨》
1)著作権制度を前提する。
2)著作物を一般公衆に伝達する第一次媒体としての実演と、第二次媒体としての録音および放送に知的価値を認める。
3)著作物の解釈者としての実演家とその伝達者としてのレコード(CD)製作者および放送事業者との関係を合理的に調整するために、これら三者の権利関係を設定する。
■一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)とは・・
著作物を利用するには、その著作権者の許諾が必要である。音楽を使用する場合は、その楽曲の作詞家個人、作曲家個人に許諾をとらなければならない。しかし、その手続きには時間と労力がかかる。そこで音楽著作権を集中管理するJASRACを通せば、容易に手続きができる。
JASRACは日本国内の作詞家、作曲家、音楽出版社から著作権を預かっているほか、外国と著作権管理の契約を結び、内外音楽著作物の演奏権・複製権などに関する著作権の管理を行っている。
■音楽著作物使用許諾申請の方法
1)舞台で演奏する場合(著作権の上演権、演奏権):「演奏利用申込書」および「演奏曲目報告書」を主催者が記入し、演奏される場所の近くの日本音楽著作権協会の支部に提出し、規定の料金を支払って許諾が成立する。
2)舞台で既成CDなどを再生する場合(著作権の上演権、演奏権):演奏と同じく申請をして、許諾をとる。
3)舞台でアカペラで歌を歌った場合(著作権の上演権、演奏権):音楽そのものを再生しないでも、アカペラで歌ったり、歌詞を台詞で喋る場合も許諾が必要である。演奏と同じ申請をする。
4)既成のCDなどから編集しないで、他のメディアに記録し、それを舞台で再生する場合(著作権の複製権、上演権、演奏権):日本音楽著作権協会に「録音利用申込書」と、「録音利用明細書」を提出する。追加製造する場合は、「申請書別表」を提出する。規定料金を支払うと「許諾証紙」が交付されるので、それを再生メディアに貼り付ける。そして、さらに演奏と同じ申請が必要である。
5)既成のCDなどを編集をして、他のメディアに記録し、それを舞台で再生する場合(著作権の複製権、上演権、演奏権、翻案権):編集は元の楽曲の変形に当たる(翻案権)ので、編集する楽曲の管理をしている音楽出版社に「変形許諾」の申請が必要である。出版社の許諾をとった後「コピーして編集しないで舞台再生する」のと同じ申請をする。「演奏」と同じ申請も必要である。
6)舞台公演をVTRに記録し販売する場合(著作権の複製権、頒布権、二次使用権):舞台の公演記録をVTRで販売する場合は、その舞台で使用した楽曲の全てに関して、その楽曲を管理している音楽出版社に二次使用権の許諾を受ける必要である。その上で日本音楽著作権協会に複製権、頒布権の手続きをする。
■許諾申請をしなくて良い場合
演出効果を高めるためにオリジナル楽曲を作曲・製作して使用する場合は、許諾申請の必要はない。ただし、作曲家、作詞家がJASRACの会員である場合は上演権の許諾申請が必要である。
国内で制作された著作権フリー楽曲の場合、基本的には一切の著作権申請の必要はない 。ただし、使用範囲など契約条項の確認が必要である。海外で制作された著作権フリー楽曲の場合も、日本国内で使用するときは基本的に一切の著作権申請は必要ないが、海外で使用する場合に制限がある。これも契約条項の確認が必要で、特に映像に付ける場合には注意が必要である。
家庭内での「私的使用のための複製」など、個人的に使用するときは申請の必要はない。
以下の3つの条件を満たしていれば、公に上演、演奏、上映できる。
(注)旧著作権法においては、演出意図がない場合(劇場における開演前の客入れ、終演後のBGMなど)で、市販のCDを使用すれば申請は不要であったが、2001年1月の改正で利用申請が必要になった。
■罰則
著作権、人格権、隣接権、出版権の侵害は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその併科、法人は3億円以下の罰金。
■一般社団法人 日本音楽著作権協会 http://www.jasrac.or.jp/